行動認識AIとは
人は一人で生きるにあらず。人はその瞳に、他人を映して生きていく生物であり、社会生活を営む上で、他者の動きを理解・模倣することは極めて重要です。
- 課長は靴下を脱いで何をやっているのだろう
- この電車に不審な人物は乗っていないだろうか
- 弟が冷蔵庫にある私のプリンを盗もうとしている
眼球で捉えた映像を、あなたの「視覚野」は意識的に、あるいは無意識的に様々な認識(判断)を行います。それは下図における”Primary visual cortex”の部分で行われます。
その結果は視覚経路を通じて神経系に伝達され、自らの意思や行動に反映させていきます。人間にはこの認知プロセスがあるからこそ、臭そうな靴下を持っている課長には近づかないでしょうし、車内に不審な人物がいれば隣の車両に映ることも検討するでしょうし、弟を捕まえてお尻を叩く、といった判断とそれに続く行動が可能になります。
アジラの行動認識AIは、その「人の視覚野」を代替するものとして、マシンで人の行動を認識(判断)するために開発されました。
主な活用シーンとしては、人手不足を主な要因とする警備品質の低下を防ぐために、防犯カメラの映像を24時間365日チェックするなど、人には耐えがたい作業を代替し、好評を博しています。
構造
このマシンを構成する要素のうち、ベースにあるのはデータサイエンスです。深層学習(DNN)や機械学習(ML)にカテゴライズされる、
- CNN; 畳み込みニューラルネットワーク
- RNN; リカレントニューラルネットワーク
- LSTMネットワーク
- GCNs; Graph Convolutional Networks
- One Class SVM
といったメソッドやアーキテクチャが活用されています。
それらの技術要素の上に成り立っているのが、当社独自の姿勢推定アルゴリズム「AsillaPose」です。開発期間は既に5周年を迎え、世界最高峰の精度とスピードを誇り、GPUのみならず、CPUやFPGAといったコアへの水平展開も進んでいます。
その姿勢推定アルゴリズムの上位に存在するのが「行動認識AI」シリーズ、AsillaSDKです。行動推定とも呼称もされるこの技術は、大きく二つのプロセスで成立しています。
第一プロセスは、姿勢推定アルゴリズム「AsillaPose」によって映像(=非構造化データ)を構造化し、定量的な解析を可能にします。
第二プロセスは、その構造化されたデータをインプットとして時系列処理で解析し、ラベリング「違和感のある行動をしている」「きょろきょろ様子を見ながら歩いている」であったり、ルールベースで相対的な伸長を推測したり、着ている服の色を判定したりできる他、行動の特徴量を過去データとマッチングすることによって「この人は3カ月前に来たID3056番の人とかなり似ている」といった人物の同定も実現し始めています。
意図や内部状態の把握
人間にはバイオロジカルモーションと呼ばれる知覚現象があり、性別や体重、年齢、感情などを、他者のごくごく小さな動きの中から得ることができると言われています。
現在、当社もこの知覚現象を取り込もうと研究開発を続けており、これが実現できた暁には行動認識AIはまた一歩人間に近づいたことになり、さらなる価値をもたらすと考えています。
行動認識AIが人類にもたらす価値
この技術の近い将来をみつめてみると、
- テロリストの入国を阻止する
- 遠距離型バイオメトリクス認証技術に発展
- 全盲の人々を支えるエージェントとして人類に貢献
といった大きな価値を生み出すべき技術だと当社では考えています。
この技術と共に、我々のビジョンである「犯罪や事故が起きてしまう世界から、未然に防ぐ世界へ」を実現していきたいと思います。
人とAIのハイブリッドサービスへ
しかしながら、課題は数多く残っています。行動認識AIの認識(判断)力は、まだまだ人間の高性能でデリケートなそれには及びません。
一方で、365日24時間フルタイムの労働は得意分野であり、防犯カメラのチェックやマーケティング用の定量データの収集には適しています。
現在では、人は人に適した業務を、AIはAIに適した業務を分担することによって、それぞれの強みを生かした全体的なサービス品質の向上に向かい、業務改善が進んでいます。
さいごに
出展を予定している展示会は以下になります。コロナ禍で様々な制約がありますが、名古屋や大阪にも馳せ参じる予定ですので、ぜひ現地にてお会いできれば幸いです!
- 3月、INNOVATION LEADERS SUMMIT2021
- 3月、SECURITYSHOW2021
- 3月、JAPAN INNOVATION DAY 2021
- 4月、AI-EXPO2021春
- 4月、名古屋ものづくりAI/IoT展
- 4月、ファーマIT&デジタルヘルス エキスポ
- 4月、第30回 Japan IT Week 春
- 6月、日本ものづくりワールド2021
- 7月、Super City / Smart City OSAKA 2021
- 10月、関西ものづくりワールド2021
- 2022年1月、CES@Las Vegas 2022
来年のCESに出展します。北米に大きな爪痕を残して参る所存です。